闇の列車、光の旅 [映画:や行]
この出会いが、私を強くした。
2009年のサンダンス映画祭で監督賞と撮影監督賞を受賞した
南米を舞台にしたロードムービー☆
アメリカへ渡ろうとする難民の少女と、ギャングの少年の姿を通して、
南米の闇と、かすかな光を描いた作品です。
監督のケイリー・ジョージ・フクナガは名前の通り日系人。
現在33歳で、これが初の長編監督作品となる若手新人監督です♪
映画の制作には「ルドandクルシ」など南米映画ではおなじみの
ディエゴ・ルナとガエル・ガルシア・ベルナルが名を連ねてるので
てっきり監督も南米の日系人かと思いきや、アメリカ人なんですね〜。
この映画の為に監督は、実際に難民と同じ列車に乗り、
彼らと旅をした経験が映画でも描かれているらしいので、
この物語のできごとは、かなりリアルなんじゃないかと思います。
難民といってもいろいろあるわけで、
主人公のサイラのようにメキシコよりさらに南のホンジュラスから、
グアテマラとメキシコを超えてアメリカに入ろうとする人もいるんですね。
いつくもの国境を超えないといけないので、その旅は長くて過酷。。
強盗に襲われたり、警察から逃げたり、気温差の激しい土地ならではの自然との戦い
また南米内でも北のメキシコ人による南のメキシコ人に対する差別があったりとか、
長い旅の中には、さまざまな出来事がおとずれます。
それでも北を目指す目的は、やっぱり貧困で、
でも北に行けばすべてがうまくいくと思っていないところもリアル。
少なくともここよりはマシだろう。ここには何も無い。
そんな絶望的な状況から、かすかな希望を求めて列車に乗る人たち。
信仰心からくるものなのか、全ての出来事受け入れて前に進む強さ。
難民同士で助け合う姿とか、私が南米の人々に描くイメージそのものの人間像も
描かれていて、すこしホッとします。
南米の人々は家族愛が強いというイメージもあるけれど、
この映画も「家族」がテーマとしてあったように思います。
サイラは離ればなれになった家族を求めてアメリカに渡ろうとするし、
ギャングのカスペルは組織の仕事に疑問を持ちながらも離れられないのは、
そこに家族的なものを求めていた様にも思える。
信頼しあえる家族のような人を求めて、サイラとカスペルは惹かれていったし、
ギャングたちの姿でさえ、一人では生きられない寂しい人たちの集団に思えた。
想像通りの悲しい「負の連鎖」の物語だけれど、
ラストには、少し強くなったサイラの生きる先には、
ささやかでも希望の光があると信じたいです。
一つ難点をいうならば、、
サイラや、マルタといった女性たちの行動がいまいち納得できないところが、、^^;
マルタが墓地に行ったのは嫉妬心なんだろうし、
サイラが彼を追いかけたのは恋心なんだろうけど、、、
2人の行動は、軽率で浅はかに見えちゃったな。私が女子だから気になるのか、、
そこ以外は、列車が走る風景の移り変わりも美しいし、
南米の社会問題、人間同士の繋がり、淡い恋物語、、と深みのある映画でした♪
映画で描かれたカスペルが所属するギャングMS-13は実在する組織です。
世界最大の凶悪な集団として社会問題にもなっています。
あの13秒殴るという儀式も、笑っちゃうような入れ墨だらけの顔も
全て実際に彼らの中で行われている事。
元々はL.Aのスラム街に逃げて来たエルサルバドル難民の数人の少年たちが、
メキシコ移民や黒人ギャングから身を守る為に暴力的になって行ったのが始まりです。
映画にも出て来たハンドサインも、元は少年達がヘビメタ好きだったからだそう。
始まりはそんな小さなことなのに、これだけ大きな組織になっていったのは、
それだけ多くの人が家族を失い難民となって、
自分の身を守る為に彼らを頼ったからなんでしょうね。。
組織が拡大してからは、映画の様に新しいメンバーを勧誘したりと、
最初の状況とはだいぶ変わってきているようだけれど、、
エルサルバドルは「中米の日本」と呼ばれることもあるぐらい、
勤勉でまじめな国民性があると言われているのに、
かたや、こういう最大のギャング組織も生み出してしまうんですね。。
貧困や戦争、暴力支配がはびこる社会が生んだ負の遺産なのかも、、と思うと
彼らの存在自体が悲しいなぁ、、
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【公式サイト】http://www.yami-hikari.com/
原題:SIN NOMBRE/WITHOUT NAME 監督・脚本:ケイリー・ジョージ・フクナガ
製作総指揮:ヘラルド・バレラ、パブロ・クルス、ディエゴ・ルナ、ガエル・ガルシア・ベルナル
音楽:マルセロ・サルボス
エドガル・フローレス/パウリナ・ガイタン/クリスティアン・フェレール/テノッチ・ウエルタ・メヒア
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☆日本で暮らす難民もたくさんいますね、、日本の実態にも目を向けたいです
難民支援協会 http://www.refugee.or.jp/
LIGHT FOR RIGHTS http://l4r.jp/
☆ホンジュラス、、どんな国なのか気になる
☆音楽たちもナイス!でした
2009年のサンダンス映画祭で監督賞と撮影監督賞を受賞した
南米を舞台にしたロードムービー☆
アメリカへ渡ろうとする難民の少女と、ギャングの少年の姿を通して、
南米の闇と、かすかな光を描いた作品です。
監督のケイリー・ジョージ・フクナガは名前の通り日系人。
現在33歳で、これが初の長編監督作品となる若手新人監督です♪
映画の制作には「ルドandクルシ」など南米映画ではおなじみの
ディエゴ・ルナとガエル・ガルシア・ベルナルが名を連ねてるので
てっきり監督も南米の日系人かと思いきや、アメリカ人なんですね〜。
この映画の為に監督は、実際に難民と同じ列車に乗り、
彼らと旅をした経験が映画でも描かれているらしいので、
この物語のできごとは、かなりリアルなんじゃないかと思います。
難民といってもいろいろあるわけで、
主人公のサイラのようにメキシコよりさらに南のホンジュラスから、
グアテマラとメキシコを超えてアメリカに入ろうとする人もいるんですね。
いつくもの国境を超えないといけないので、その旅は長くて過酷。。
強盗に襲われたり、警察から逃げたり、気温差の激しい土地ならではの自然との戦い
また南米内でも北のメキシコ人による南のメキシコ人に対する差別があったりとか、
長い旅の中には、さまざまな出来事がおとずれます。
それでも北を目指す目的は、やっぱり貧困で、
でも北に行けばすべてがうまくいくと思っていないところもリアル。
少なくともここよりはマシだろう。ここには何も無い。
そんな絶望的な状況から、かすかな希望を求めて列車に乗る人たち。
信仰心からくるものなのか、全ての出来事受け入れて前に進む強さ。
難民同士で助け合う姿とか、私が南米の人々に描くイメージそのものの人間像も
描かれていて、すこしホッとします。
南米の人々は家族愛が強いというイメージもあるけれど、
この映画も「家族」がテーマとしてあったように思います。
サイラは離ればなれになった家族を求めてアメリカに渡ろうとするし、
ギャングのカスペルは組織の仕事に疑問を持ちながらも離れられないのは、
そこに家族的なものを求めていた様にも思える。
信頼しあえる家族のような人を求めて、サイラとカスペルは惹かれていったし、
ギャングたちの姿でさえ、一人では生きられない寂しい人たちの集団に思えた。
想像通りの悲しい「負の連鎖」の物語だけれど、
ラストには、少し強くなったサイラの生きる先には、
ささやかでも希望の光があると信じたいです。
一つ難点をいうならば、、
サイラや、マルタといった女性たちの行動がいまいち納得できないところが、、^^;
マルタが墓地に行ったのは嫉妬心なんだろうし、
サイラが彼を追いかけたのは恋心なんだろうけど、、、
2人の行動は、軽率で浅はかに見えちゃったな。私が女子だから気になるのか、、
そこ以外は、列車が走る風景の移り変わりも美しいし、
南米の社会問題、人間同士の繋がり、淡い恋物語、、と深みのある映画でした♪
映画で描かれたカスペルが所属するギャングMS-13は実在する組織です。
世界最大の凶悪な集団として社会問題にもなっています。
あの13秒殴るという儀式も、笑っちゃうような入れ墨だらけの顔も
全て実際に彼らの中で行われている事。
元々はL.Aのスラム街に逃げて来たエルサルバドル難民の数人の少年たちが、
メキシコ移民や黒人ギャングから身を守る為に暴力的になって行ったのが始まりです。
映画にも出て来たハンドサインも、元は少年達がヘビメタ好きだったからだそう。
始まりはそんな小さなことなのに、これだけ大きな組織になっていったのは、
それだけ多くの人が家族を失い難民となって、
自分の身を守る為に彼らを頼ったからなんでしょうね。。
組織が拡大してからは、映画の様に新しいメンバーを勧誘したりと、
最初の状況とはだいぶ変わってきているようだけれど、、
エルサルバドルは「中米の日本」と呼ばれることもあるぐらい、
勤勉でまじめな国民性があると言われているのに、
かたや、こういう最大のギャング組織も生み出してしまうんですね。。
貧困や戦争、暴力支配がはびこる社会が生んだ負の遺産なのかも、、と思うと
彼らの存在自体が悲しいなぁ、、
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【公式サイト】http://www.yami-hikari.com/
原題:SIN NOMBRE/WITHOUT NAME 監督・脚本:ケイリー・ジョージ・フクナガ
製作総指揮:ヘラルド・バレラ、パブロ・クルス、ディエゴ・ルナ、ガエル・ガルシア・ベルナル
音楽:マルセロ・サルボス
エドガル・フローレス/パウリナ・ガイタン/クリスティアン・フェレール/テノッチ・ウエルタ・メヒア
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☆日本で暮らす難民もたくさんいますね、、日本の実態にも目を向けたいです
難民支援協会 http://www.refugee.or.jp/
LIGHT FOR RIGHTS http://l4r.jp/
☆ホンジュラス、、どんな国なのか気になる
エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグアを知るための45章 エリア・スタディーズ
- 作者: 田中 高
- 出版社/メーカー: 明石書店
- 発売日: 2004/08/25
- メディア: 単行本
☆音楽たちもナイス!でした
貧困から逃れるため、生きるためにはきれいごとを言っていられないという冷徹な現実を見せ付けられた思いでした。
なんというか、カスペルは当然サイラたちの置かれた状況は解っていたわけで、密入国をするのもギャング団に入るのも少しでも今よりいい環境に身を置きたいからなんですよね。そんなことは解っていても、一方で生きるために自分の事だけを考えて平気で人を裏切る少年もいる。なんともやるせないです。
by KLY (2010-06-25 01:39)
KLYさん
コメントありがとうございます^_^♪
南米にも厳しい現実がありますね、、
生きる為に難民になり、ギャングにもなる。
カスペルの末路はスマイリーの未来なのかもと思うと
切ないですね。。T_T
by ジジョ (2010-06-26 06:05)
札幌ではまだ観られません。
これは結構期待してるんですけどね。
by 丹下段平 (2010-07-05 23:45)
丹下段平さん
これも風景が素敵な映画でした♪
役者さんも味のある顔で、よかったですよ〜☆
期待にして良いと思います!ぜひ^^
by ジジョ (2010-07-09 18:54)
初めまして。メキシコ在住の若者です。映画タイトルで検索して記事に辿り着き、興味深く拝読しました。私自身はスペイン語DVDで鑑賞したため、細かい台詞など見落としている点もまだあるのですが、映像だけでも充分に雄弁な、まさに映画としての完成度が高い作品だと感じました。
この度日本での公開を知り、私のブログでもこの映画の記事を執筆中なのですが、そこでジジョさんの記事を併せて紹介させていただいてもよろしいでしょうか?突然の申し出で恐縮ですが、ご検討よろしくお願い致します。
こちらのブログのURLも貼りましたので、よろしければ併せてご参照下さい。
by grantottorino (2010-07-12 01:11)
grantottorinoさん
こんにちは〜☆ご訪問ありがとうございます♪
先ほどブログにもお邪魔したしたが、確かにお若いw
お若いのにしっかりされてて、関心してしまいました^^
わたしの稚拙な文章でよろしければ是非ご活用ください☆
実際にメキシコを体感している方の感想楽しみにしています。
またブログにもお邪魔しますね〜♪
by ジジョ (2010-07-12 02:31)
ジジョさん
早速のご返信ありがとうございます。
快諾いただけて感謝です☆
たった今記事を上げましたのでお報せ致します。
よろしければご笑覧下さい。
僕もこの度の件をご縁に、今後も読ませていただきますね。
よろしくお願いしまーす。
by grantottorino (2010-07-13 04:31)
grantottorinoさん
コメントありがとうございます^^
のちほど記事読ませていただきますね♪
こちらこそ、今後ともよろしくお願いします☆
by ジジョ (2010-07-13 09:27)
列車の屋根に乗っての旅は一見楽しそうに思えてしまいます。
多分その映像だけを見たら、のどかな風景と思ってしまいそうな。
でもそこには過酷な現実が有る。という事が分かりました。
by テンプラ・ソバ・ニーロ (2010-08-04 19:22)
テンプラ・ソバ・ニーロさん
列車で行った先に光があるのかどうかさえワカラナイ、、、
っていうのが切ないですね、、。
ほんと風景は美しいし、すてきな場所なんですけどね。
by ジジョ (2010-08-05 06:51)
こんにちはぁ(^^)/
3ヶ月遅れで、やっと鑑賞できました。
二人の少女の不可解というか軽率な行動に
一番リアリティを感じました。
映画としての展開への必要性以上に。(^^ゞ
現実の、ちょっとした軽はずみが
最後は悲劇を生んでしまう怖さが
出ていたように思いました。
by よーじっく (2010-10-10 17:20)
よーじっくさん
なるほど〜。たしかにリアリティがあるからこそ、
「なんでそんなことっ!」っていう感情が湧いて来るのかも^^
きっかけは些細なことなのにね、、、
その代償は、あまりにも大きすぎますね,,T_T
by ジジョ (2010-10-12 02:18)