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『ジェノサイドの丘〜ルワンダ虐殺の隠された真実』 [本]


映画『ホテル・ルワンダ』で描かれたルワンダにおける大量虐殺。
ルワンダの歴史から、ジェノサイドの詳細、その後のルワンダまでを
アメリカ人ジャーナリストがレポートした本。

映画では描ききれていなかった、「なぜ、虐殺が起こったのか?」、
「その後のルワンダは、どうなっているのか?」を知りたくなって
読んでみたのですが、想像以上の内容でした。

ニュースを聞いても、その状況が想像できない、、と現地に飛んだジャーナリスト。
しかし、現地で見てもそのあまりの状況にやっぱり心がついていきません。

わたしも読みながら同じ状況に陥りました。
現地で起こった出来事や歴史は、わたしの常識の範囲を軽く超えていて、
「いったい、なんなんだ?これは??」と、理解に苦しむ出来事ばかり、、、

淡々と語られる文章や、生存者の証言は、どんなホラー小説よりも背筋が寒くなり、
そして、自分が想像する惨劇よりも、きっと現実は更に悲惨だったのだろうと思うと、
先を読む気力が無くなるほどでした。

ある日、隣人が自分を殺しにくる恐怖、、、
いろんな「悪いこと」が積み重なって爆発した悲劇、、
そして、それをつくりだした一端が先進国の事情だったという現実、、、

映画『ホテル・ルワンダ』では、ラストはなんとなく希望をもって終わりますが、
やはり、今でもルワンダは苦しい状況にあるようです。
虐殺が行われていた期間とは、また違った恐怖がうずまいています。

読めば読むほどヘコみ、考えさせられる内容でしたが、
最後のルワンダの女学生の話は、本当に救われる思いがしました。

私たちはツチ族でもフツ族でもない、「ルワンダ人」である。

あの状況で、そう言えた彼女たちの勇気と気高さは何ものにも代え難く、
そうして命をおとしていったこの悲劇から、
私たちが学ばなければいけないことが、たくさんある気がしました。



ジェノサイドの丘〈上〉―ルワンダ虐殺の隠された真実

ジェノサイドの丘〈上〉―ルワンダ虐殺の隠された真実

  • 作者: フィリップ ゴーレイヴィッチ
  • 出版社/メーカー: WAVE出版
  • 発売日: 2003/06
  • メディア: 単行本
ジェノサイドの丘〈下〉―ルワンダ虐殺の隠された真実

ジェノサイドの丘〈下〉―ルワンダ虐殺の隠された真実

  • 作者: フィリップ ゴーレイヴィッチ
  • 出版社/メーカー: WAVE出版
  • 発売日: 2003/06
  • メディア: 単行本

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『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ [本]



久々に美しい文章を読みました。

最近、日本の若手作家の作品を読むことが多かったので、
余計に、繊細な文章と緻密なストーリー展開に、心奪われました。

かなり重いテーマなのに、それを感じさせない抑制された文章。
だから余計に、運命を受け入れるしかなかった登場人物たちへの
悲しみがつのります。

ちょっとしたナゾを投げかけ、次へ読ませる構成はおみごと☆

ストーリーも学生時代からさかのぼり、現在へつづくので
ラストは、一緒にすごした仲間を見送るようキモチになります。

原書は英文なので、実際どんな文章なのかわかりませんが、
この本の訳者は、とっても素敵な訳をつけていると思います。

情景描写など、ほんとうに光や風を感じることができました。

また、この本の装丁もステキ☆
読み終わったあとに、装丁を見直すと、またジ〜ンときます。

映画も観てみよっと☆


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『となり町戦争』三崎亜記 [本]


小説すばる新人賞受賞の作品。
各方面で大絶賛!! ですが、うん。たしかにオモシロイ☆

ある日突然届いた、となり町との戦争のお知らせ。
公共事業と言われるこの戦争は、目に見えない形で、
淡々と、でも確実に進んでいきます。

知らず知らずのうちに、戦争に荷担している自分、、、
目に見えないから実感がないけれど、
自分が誰かの死に関係していたと知ったら、、、

他人事であったことが、実は他人事ではなくなる。。
実感が無いのは、感じようとしていない、つまり無関心なだけでは?

この本は、先日観た野田秀樹の舞台のテーマにもよく似ています。

いま、世の中はこういうモノを求めているのかもしれない、、。

三崎亜記の作品は、これで2冊目ですが、彼は短編の方が合っている気がします。

短編集の『バスジャック』は、個人的にはかなりツボだったのですが、
まだ新人だからなのか、長編になるとちょっとアラが目立つ気が、、、
オモシロイんだけど、なんとなく最後まで乗り切れない感じ。

アイデアがすごくオモシロイので、もったいないなーとおもいつつ、
今後に期待です☆

しかし、今回の装丁はすごくイイ☆ ナイスです☆


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『バスジャック』三崎亜記 [本]


前から読みたいと思っていた三崎亜記。
「バスジャック」は、タイトルがなんだか怖くて手がでなかったけど、
いくつかの作品が収録された、短編集でした。ほっ。

三崎亜記の作品は、日常の中の異世界というか、
ちょっと、星新一っぽい部分もあって、自分好み☆

「二階扉をつけてください」や「バスジャック」などは
最後におぉ!と思わせるカンジがワクワクする。

かと思えば、「しあわせな光」や「雨降る夜に」のような、
ちょっとじ〜んとする温かい話もある。

でも、私が一番好きなお話しは、最後に収録されていた「送りの夏」。

ちょっと不思議な世界の中で、生きるために必要なカードを
すっと差し出されたような気がした。。

たぶん、この話を読むためだけに、この本を手に取ったんだろう、、と
思わせるぐらいの傑作☆

最新作の「失われた街」は直木賞候補にもなったようだし、
これは、読まねば!


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『ただの私(あたし)』オノ・ヨーコ [本]


オノ・ヨーコの事は良く知りません。
「ジョン・レノンの奥さん」「アーティスト」ぐらい。

それでも、ナゼかこの本を読んでみようかと思ったのは、
知人が薦めてくれたことと、始まりの文章が

「わたしは美人で頭も悪くないのに、どうしてこんなに叩かれるのだろう?」

というような内容だったから。
すごい!この人。自分でこんな事言ってる!と興味を持ったのデス。

内容は、オノ・ヨーコの半生を自分で語ったものや、
フェミニズム運動に関するようなコラムなど。

女性上位を説く彼女の言動には、少し首をかしげる部分もあるけれど、
でも、全体を通してみると単純な女性解放を説いているわけでは無いことがよく分かる。

彼女が生きてきた時代、受けた差別やバッシング、、、
淡々と語ってはいるけれど、それは私たちの想像以上のものなのだろう。。

それらを越えて、且つ常に前を向いて歩いてきた人の強さがオノ・ヨーコにはある。

それは、男性化するわけではなく、女性としてのしなやかな強さ。
女性への普遍的なメッセージがこの本にはありました。。

「空の美しさにかなうアートなんて、あるのだろうか?」

冒頭のこの言葉に、オノ・ヨーコの全てが詰まっている気がします。
とてもイイ言葉、、


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『ゆれる』 西川美和 [本]


映画「ゆれる」のノベライズ版。

映画のストーリーを、タケル目線、ミノル目線、父親目線、など、
登場人物、それぞれの目線で語られながら物語が進んでいく。

これを読むと、それぞれが、どんなキモチでいたのかが、
すごくよく分かっておもしろい。

ちょっとした仕草や表情にも、ちゃんと意味があって、
映像でも表現されてたことに感心しつつ、
言葉にすることで、もっと理解が深まった。

たとえば、わたしはチエコがタケルに家まで送ってもらう車内で、
洋服の袖を指先までのばしてる仕草が
「中学生みたいで子供っぽいな」と思ったのだけど、
(たぶん、子供っぽさを表現する意味もあったと思うけど)
小説では、この部分をチエコ本人が
「油で汚れた手をタケルに見られるのが恥ずかしい」と隠していたと語っていて、
「あーーーー、なるほど☆ おんな心よねぇ。。」と妙に納得。。。

映画ではタケル目線だったので、小説のチエコ目線はとても面白かった。

最後はやはり、同じ場面で終わるのだけど、
これがヨウヘイ目線なのも、第三者的な感じがして良かったナ。

戦略にはまっている、、とは思いつつ、
もう一度映画観てみようかな。。


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『宇宙のあいさつ』星新一 [本]


ひさしぶりに星新一を読んでみた。
、、中学校以来?、、か?

今読んでも、あのときのドキドキわくわくはそのまま。
最後に「おぉ☆」と驚かされて、にんまりしてしまう。

そして挿し絵はやっぱり和田誠☆
この、のほほんとしたイラストが星新一の物語にぴったり。

何年たっても、大人になっても、変わらず読める本はうれしい。

でも、今回は本編よりも「あとがき」の解説の方が印象に残った。

解説によると、星新一は「人間不信」が根底にあるらしい。

、、ほぉ!なるほど☆ なんか、これ妙になっとく。

登場人物も「エヌ氏」など匿名な感じにしてあるし、
会話もどこか感情が入っていない。
登場人物に感情移入しながら読むというよりは、
第三者的に傍観する感じで読めるのはその為か。

設定も、現在の様な未来のような、地球のような、そうでないような、
不思議な感じなのも、その為か。

そして、中学生当時のわたしが、星新一を読みまくったのも、その為かも。。

この本が、自分のどの部分にグッときたのかが、
数十年たって、初めてわかった気がする。。


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ゲド戦記 1 影との戦い [本]


光と闇、生と死、本当の名前、シャドウ、、、
これは、哲学か心理学か、、、

「愛と勇気の冒険活劇」がファンタジーだとおもってました。。

この本の主人公は、まったく「ヒーロー」ではない。
傲慢になったり、挫折したり、逃げたり、憎んだり、、、
主人公としては、まったく落第のダメダメ主人公。
でも、彼のもつ感情はどれも「人間だからこそ」のモノ。

迷い、苦しみながら進む主人公の旅は、人生そのもの。

ひたすら逃げていたものと、向かい合い、戦い、
受け入れた時に初めて一つの旅が終わり、
また新たな旅が始まる、、、

深いっ☆ 深すぎるっ☆


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陰日向に咲く [本]


これは、劇団ひとりのネタ帳?

劇団ひとりが、あんな格好やこんな格好で、
舞台でしゃべる姿が目に浮かぶ。

劇団ひとりがやるネタのキャラは、
どいつも、こいつもダメダメで、
でも、なんだか一生懸命で、憎めないところが好き。

この小説の登場人物も、そんなかんじ。

不器用に生きてる人たち。
でも愛すべき人たち。

それにしても、劇団ひとり、、、やっぱりすごいわ。この人。


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