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ジョニー・マッド・ドッグ [映画:さ行]

悪魔か、犠牲者かー

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少年兵は、ずっと気になっている問題の一つです。
戦争を題材にした映画やドキュメントはいろいろあるけど、
少年兵に焦点をあてた作品は初めてじゃないかしら?

少年兵に関する書籍はいくつか読んでいて、
彼らがどういう存在で、何が行われているのかは知っていたけど、
映像で見るのは、やっぱり衝撃がありました。

おそらく「映画でだせる範囲」の事しか描いていないので、
実際は、この1000倍以上の光景が繰り広げされてると思うと
ほんとにやるせない気持ちになります、、、

映画の舞台は“アフリカのある国”という感じで場所や年代を特定していません。
それは、この問題が今も現在進行形で、世界のどこかで今も続いているから、、


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映画はドキュメント風のタッチで、
どのようして少年兵が誕生し、彼らが戦場で何を行い、
なぜそういう行動を起こすのか、その後彼らはどうなっていくのか、、などを
詳しい説明は無いけれど、映像で理解できるようになっています。

少年兵のリーダー“マッド・ドッグ”の視点からみた戦争の風景と、
彼らによって様々なものを奪われる少女ラオコレの視点から見た戦争の風景が
交互に映し出されて、やがて交差していく構成。

こんな感じの「対比」の表現が随所に用いられてて、
混濁した世界を表してるようで、ドキッとさせられます。

異常な戦争の世界で、「生きよう」とした少年も少女も戦争の犠牲者。
子供らしくいられなくなってしまった彼らの未来を思うと、本当にせつない。。
マイケル・ジャクソンが講演で言っていた事を思い出すなぁ…。


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この映画に出演した子供達は、実際に少年兵として活動していたそうです。
映画とはいえ、子供にまた戦争を疑似体験させるようなのってどうなの!?と
思ったけど、逆にトラウマを克服するセラピーの様な効果があったらしい。

自分が何をして、それがどういう意味があることだったのかを正しく理解することは
トラウマの克服になるんですね。よかった☆

監督は“ジョニー・マッド・ドッグ財団”を設立して、少年達に教育や食事を与えたり
という活動も行ったそうで、この問題を単なるスキャンダラスな事として終わらせない
真摯な姿勢も好感が持てます。


元少年兵のシンガーでエマニュエル・ジャル(Emmanuel Jal)という人がいます。
スーダン出身で8歳から少年兵として活動してたそうです。
彼が語る経験は、まさにこの映画の様な内容ですが、彼の救いは救世主が現れたこと。

イギリス人のエイドワーカーのエマに助けられたエマニュエルは更生し、
今は音楽を通して、自身が経験して来たことを世界に伝えたり、
子供のために学校の設立などのチャリティー活動をしています。

この映画に出演した少年達にとって、監督がエマの様な存在になることを願います☆


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【公式サイト】http://www.interfilm.co.jp/johnnymaddog/
原題:JOHNNY MAD DOG 監督:ジャン=ステファーヌ・ソヴェール
脚本:ジャン=ステファーヌ・ソヴェール 原作;エマニュエル・ドンガラ
製作:マチュー・カソビッツ、ブノワ・ジョベール
クリストフ・ミニー/デジー・ヴィクトリア・ヴァンディ/ダグベス・トゥウェ/モハメッド・セセイ

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少年兵に関連するレビューはコチラ↓

☆映画「ブラッド・ダイヤモンド」(デカプリオ主演!いい映画!)
    「ウォー・ダンス」(難民キャンプの子供達のドキュメント)
☆書籍「カラシニコフ」(AKを通してアフリカの現状を語った本。傑作!)
   「子供兵の戦争」(子供兵の証言が切ない…)
☆写真「セバスチャン・サルガド」(アフリカを撮り続けている写真家)


☆エマニュエルのアルバム。
 「Baai」は『ブラッド・ダイアモンド』でも使われてます。


Ceasefire

Ceasefire

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: New Note
  • 発売日: 2008/06/23
  • メディア: CD


☆エマの生涯を描いた小説。ニコール・キッドマン主演でリドリー・スコットが
 映画化する話があったけど、、、どうなった?


Emma's War: Love, Betrayal and Death in the Sudan

Emma's War: Love, Betrayal and Death in the Sudan

  • 作者: Deborah Scroggins
  • 出版社/メーカー: HarperCollins Publishers Ltd
  • 発売日: 2004/02/02
  • メディア: ペーパーバック


☆映画のモデルになったリベリア内戦に関する本。

戦争が終わっても―ぼくの出会ったリベリアの子どもたち

戦争が終わっても―ぼくの出会ったリベリアの子どもたち

  • 作者: 高橋 邦典
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2005/07
  • メディア: 大型本



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コメント 4

コッスン

王様のブランチで取り上げられてて
やっぱり、この少年たちは、本当の少年兵をスカウトしたといってて
びっくりしました。
少年兵の映画って、今、マイブームのディカプーの
ブラッドダイアモンドでも、育成シーンなど有りましたよね。
(違う映画だったかな??)
あの映画のディカプーも良かった。
武器を必要としてる人たちがいるから
武器商人という仕事が合って
そこを描いたのがロードオブウォー
(黒幕はアメリカ政府?をにおわして終わったけど)
戦争、闘争っで金になるんですね。
なるとこには。
少年兵について詳しくないけど
ついつい目をそむけがちなそんな私です。


by コッスン (2010-04-22 14:13) 

ジジョ

コッスンさん

へ〜☆ 王様のブランチって、こういう映画も紹介するですね!
そうそう。少年達は本物だから銃も戦闘も慣れてて、、、T_T
ドキュメントタッチなので、リアルで切ないです。。

コッスンさん大好きなwディカプーの「ブラッドダイアモンド」も
少年兵出て来ますね。わたしこの映画がきっかけでいろいろ
アフリカの本とかも読む様になりました♪
戦争はビジネスの一つになってますよね、、、
いったい、何の為の戦いなのか、、、と思ってしまいます。。
by ジジョ (2010-04-24 17:01) 

KLY

こんばんは^^
ジョニーが時折みせる優しい子供らしい表情が印象的でした。
こういう映画を観るといつも思うのですが、人の命の重さって
どうしてこうも差があるんでしょう。とある総理は「地球より重い」
と言いましたが、この子達の世界では殆ど紙くず同然ですもん。

by KLY (2010-05-11 00:34) 

ジジョ

KLYさん

ジョニー以外も、あの豚のくだりとか
子供っぽさが垣間みれて笑いつつ切なくなりました。。
ほんと、命の重さは平等のはずなのに、、
特に子供の命が紙くず同然なのは、個人的にはとっても
切ないし、憤りを感じてしまいます。。
by ジジョ (2010-05-12 04:28) 

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