明日への遺言 [映画:あ行]
第二次世界大戦終 戦後に行われた戦犯を裁く裁判。
B級戦犯として裁かれた岡田資(おかだたすく)中将の法廷闘争を描いたお話。
このあたりの史実には、まったくうとい私、、、
そんな私でも大丈夫なように、映画の冒頭は当時の映像や写真を使いながら、
日本軍のこと、米軍の攻撃のこと、さらりとおさらいしてくれます。
そのことをふまえながら、岡田資の裁判へ話が進みます。
ほとんど結果が決まっている茶番の様な裁判ながら、
岡田資は、自分の信じた正義を貫き、全責任をとり部下を守ろうとします。
死を恐れず、背筋を伸ばして凛と証言台に座る岡田資の姿は、とても潔い。
その姿から学ぶことはとても多いです。
この映画は、史実を元にしているのでセリフも裁判の記録そのままだそうで、
おそらく、様々なエピソードも殆ど脚色なく描かれているのだと思います。
なので、いわゆる映画的な盛り上がりはあまりなく、
ナレーションで補足をしながら、割と淡々と進んでいて本を読んでいるよう。
つまらなくは無いのだけれど、なんとなく感情移入できない感じ。
確かに、岡田資はすばらしい人物。
でも、すばらしすぎて、本当にこんなに立派な人だったのか??と
うがった見方をしたくなります。
と、おもいつつ映画を見終えたあと、ネットで偶然見つけた岡田資 本人の写真を見て、
そんな考えは吹き飛んだ。
写真から岡田資の意思の強さ、やさしさ、潔よさを感じました。
きっと、誰にも弱音を吐かず、凛としたまま
誇りをもってこの世を去ったのでしょう、、、
たった1枚の写真が彼の全てを物語っていました。
写真を見れてよかった☆
アース/earth [映画:あ行]
「地球、公開。」
『プラネットアース』のスタッフが制作した、
自然と動物たちのドキュメンタリー。
さすがに映像は圧巻☆ 色も美しい☆
北極熊の親子の様子や、極楽鳥の求愛ダンス、
雪解けに表れる緑の葉っぱ、海で泳ぐ魚たち、、などなど。
今も地球のどこかで繰り広げられている自然の光景が写し出されます。
ナレーションで説明もあり、いろいろと勉強になる映画。
、、、ですが、この映画、『プラネットアース』以上でも以下でもない、
あまり、新しい驚きを感じるようなものでは無かったのが残念。
とはいえ、この映像を、音を、映画館で観る!というのはスケール感が倍増☆
広大な大地を、より大きく感じることができるのはウレシイ♪
映画のナレーションにもあるように、環境問題を訴える映画なのですが、
あまりの映像の美しさに、なんだか他の星のことを観ている様な遠い気持ちになりました。
自然と動物だけで、人間のいない世界。。。
撮っているのは人間なのに、なんとなく人を感じられないので、そう思ったのかも。。
あえて、そういう風にしているのかもしれないけれど、、、
しかし、『プラネットアース』というDVDが既にあるにもかかわらず、
こういう映像が、あえて映画として劇場で公開される背景には、
今の時代の、環境問題への関心の高さ、緊迫感が伝わってくるようで、
(商売になる、、ということもあるのだろうけど。。)
そういう時代になってしまったんだな、、としみじみしてしまいます。
この映画を「昔の地球は、こんなに美しかったんだよ」と
思い出して観る様な未来にだけはしたくないな。。
俺たちフィギュアスケーター [映画:あ行]
「史上初!男子フィギアペア」
なんで劇場公開までこぎつけたのかが知りたいぐらい
ビデオスルー感漂う作品。
ばかばかしさ満載☆お下品満載☆
フィギアスケート界でライバル同士の2人。とっても犬猿の仲。
そんな2人がひょんなことからペアを組む事に。
幻の技を完成させて、金メダルを獲得することができるのか!?
主演は『主人公は僕だった』で良純感全開だったウィル・フェレル。
今回は、セクシーフェロモン全開のプレイボーイを演じます、、、、が。
彼がモテモテってこと自体がすでに失笑ですw
もう一人は『バス男』でオタク少年ナポレオン・ダイナマイトを演じた
ジョン・ヘダー。
今回は、アイドル的美少年、、というこちらも真逆の役。
でも『バス男』の時はメガネで気づかなかったけど、以外とイイ顔してますw
あり得ないコスプレ風の衣装で、あり得ない技が飛び出すフィギアの演技。
たぶん役者本人が滑っているであろう、ちょっとたどたどしい滑りも
なんだか情けなさが漂って笑ってしまいます。
こういう作品って、ギャグが寒くてついていけない事が多いのだけど、
これはくだらなすぎて、これはこれでアリ! 結構笑える場面が多々☆
意外にもお話はしっかりしてるので、最後まで飽きずに観れます♪
でもやっぱり映画館で観るほどでも無い様な。
温かい部屋で、みんなでワイワイ笑いながら観たい作品です☆
いのちの食べかた [映画:あ行]
「いただきます」って、だれに言いますか?
ずーっと観ようと思ってたのに、スルーしかけていた作品。
食品問題がニュースにたくさん取り上げられる今、
ロングランしているこの機会に観ておかなければっ☆
問題提起のドキュメント映画というと、マイケル・ムーア作品を想像しますが、
この映画は、まったく味も素っ気も笑いもありません。
なんなら、映像に関する説明やナレーションも皆無。
ただただ淡々と、食材が生産されていく様子を写し出していきます。
すごく不親切な映画、、、と言えばそれまでですが、
なんだかその淡々ぐあいが妙にリアルで、観終わった後にはずしっと響いてきます。
毎日スーパーに並ぶ食材達、ファーストフードで食べられる食品達、、
私たちが毎日食べるものがどうやって作られていくのか、
知っているようで知らなかった事実がここにはありました。
いのちを食べていく事でしか生きられないのなら、
まず知る事。 そして考えて選択すること。
そして、感謝しておいしく食べること。
なんだか、当たり前の事をもう一度考え直したくなる映画です。
http://www.espace-sarou.co.jp/inochi/
アフター・ウェディング [映画:あ行]
「愛は、死なない」
デンマークって美しい街なんですね。
街の個性なのか、監督の個性なのか、独特な雰囲気の作品。
“ウエディング”というハピーな単語のタイトルからは想像もできない
ちょっと重い内容ですが、全部観終わるとなんだか納得。
結婚したあと、、、日常の生活の中にいろいろな出来事が起こり、
いろいろな感情が生まれ、悲しんだり喜んだりしながら生きていくのです。。
インドで孤児救助活動をする主人公が寄付金を得る為に
数年ぶりに戻ったデンマークで富豪に出会うコトで運命が動き始めます。
主な登場人物は4人の男女。
それぞれの視点からのエピソードを絡めつつ
ストーリーは意外な方向へと進んで行きます。
夫婦、男と女、母と娘、、、最小単位の登場人物の中で、
いろいろな関係を描く脚本はホントに上手。
メインは男性なので、正直、富豪の気持ちも主人公の心の動きも
理解できない部分はありますが、
それでも「家族」を思う気持ちはヒリヒリと伝わってきます。
自分の今が無くなる時に、何を残せるだろうか?
男の人は、形で残そうとするんだなぁ、、この映画の富豪もそうだ。
でも、きれいごとを言わせてもらえば、女子の私としては、
どんな大金よりも彼が言ったこのセリフが一番うれしい。
「おまえと過ごした時間は、
私の昼であり夜であり、海であり空だった」
ロマンチックすぎ?
でも、いいんです。何も形に残らなくても記憶があれば。
こんなコトを言われたら、それだけで生きて行けます。
大切な人と過ごす時間が、もっと愛おしく感じる映画。 大人な映画だわ☆
エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜 [映画:あ行]
そして「愛」は歌い継がれる
“エディット・ピアフ”といえば“愛の讃歌”
でも、“愛の讃歌”と言えば“越路吹雪”な純和風な私、、、
当然ピアフのコトは「世界中に愛された歌姫」、、ぐらいの知識。
この映画でピアフを演じたマリオンがどれほど似てるのかは分からないけど、
「熱演」という言葉がぴったりくる、鬼気迫る演技で、
幼少期からの晩年までのエディット・ピアフという人物像が
まったくブレることなく表現されていて、彼女の人生を垣間みることができます。
彼女は「歌」そのもの、、
彼女の人生すべてが「歌」であり、「歌う」ことが「生きる」こと、、
非凡すぎます、、。
平凡な人生を送っている私には、とうてい理解することのできない彼女の人生、、
彼女が感じてきたであろう孤独感、絶望、悲しみ、喜び、、、
どれもが壮絶で、まちがっても「あぁ〜、わかるわぁ」なんて言えません☆
「愛」に恵まれなかった彼女が説く「愛しなさい」という言葉は深くて重い。
そんな彼女が歌う“愛の讃歌”には、
あふれんばかりの愛が詰まっていて心をゆさぶられます。
ストーリーは幼少期から47歳で亡くなるまでの彼女の壮絶な人生を表現するかの様に、
時間が過去から現在へ、また過去へ、、と飛び回ります。
まるで、彼女が亡くなる時に自分の人生を思い出してる映像を見ているよう、、
映画の中のピアフは、ヒステリックで傲慢で、でもどこか自信がなくて
正直、私が好きなタイプの人物像ではありません、、むしろ苦手かも。。
なので、彼女に感情移入することなく、
圧倒的なその生涯をただただ見届けた感じがします。
短い人生を駆け抜けたピアフの様に、重厚感たっぷり!特濃!な映画でした。
オーシャンズ13 [映画:あ行]
「今度のゲームにいくら賭ける?」
この映画は音楽がイイ☆
あのテーマソングは、なんだかワクワク☆イケイケ☆ってかんじで、
映画の内容がどうであれ、「楽しかった♪」気分にさせられる不思議な音楽。
今回のお話は「男の友情」、、、ってかんじ?
だまされて大金を奪われた仲間のルーベンの為に、だました相手をヘコます作戦。
カラッとスカッと豪快で巧みな作戦で、巨大なホテルのカジノをつぶして、ダイヤを奪います。
今回は、女性が殆ど出てこなくてロマンス的なものが無いこともあって、
男性全員が、完全に子供に返ってるかんじ。
大の大人の男が、きゃっきゃ☆騒いでる姿は、なんだか微笑ましくもあります。
舞台はラスベガス☆ 狙うはカジノ☆高級ホテル☆ なので、
設定の華やかさで女性の不在をカバーしてるかんじ。
ストーリーはテンポが早すぎて、作戦が何がどういう風に進んでるのか途中で見失いますが、
ま、それもよし。
正直、前2作のストーリーは覚えてないのですが、
どうやら見た人なら分かる細かいギャグが入っていそうな気もするので、
見直してから見たら、また違った意味で楽しめたのかも。
この映画は、悪い事してるのに無駄に人を傷つけないところが好きなんですけど、
「アノ人だけは災難だったな、、」とずっと気になってた人を
ラストで、ちゃんとカバーしてくれたところがスッキリ☆
しかし、ジョージ&ブラッドとか、ホントにみんな仲が良いんだろうなぁ。。
映画のハシバシからも伝わってきます。男の友情☆
女帝[エンペラー] [映画:あ行]
「憎しみに口づけ、愛に刺しちがえる。」
チャン・ツィイーは好きな女優さん。顔が好き☆
ジャパンプレミアで見たけど、すごくかわいかった〜。
でも、やっぱり私にとってチャンは「女帝」というよりは「小娘」。
まだまだ女帝としての迫力には欠けてる気がします。
とはいえ、周りをあやつって自分の思い通りにするところは
「小悪魔」っぽくて、そういう意味ではこの役はあってるのカモ。
下克上が当たり前の五代十国時代。
チャン・ツィイー演じる王妃ワンは愛する義理の息子を守るために、
皇帝を愛するふりをしながら復讐を企てる、、、というお話。
原案はシェイクスピアの「ハムレット」らしいのですが、
この、ドロドロで複雑で感情的な感じはシェイクスピアなんでしょうか?
主人公である王妃ワンの感情がイマイチつかみきれず、
あまり感情移入して観る事ができませんでした、、
ワンは何がしたかったんだろう、、息子を助けたい一心だけでなく、
女帝になる欲望もあるし、新皇帝に対する気持ちも少しはあったのかしら??
ワンの本心がちょっと見えずらかったのが残念。
とはいえ、この映画はさすが中国☆な衣装と美術とワイヤーアクション!
贅沢な装飾の王妃ワンのドレスとか、侍女が着ているワンピースとか、
色も形もキレイ☆かわいい☆
お城の中のインテリアもステキで、ここが一番観てて楽しかったかも♪
ワイヤーアクションは「グリーン・デスティニー」の様な感じで、
戦う場面もあれば、舞っている場面もあり、、と更に進化。
細かいストーリーよりも、色と音楽が印象的な映画でした。
明日、君がいない [映画:あ行]
「それぞれに深い悩みを抱える10代たち—自ら命を絶つのはだれなのか?」
うわぁ、、、これはスゴイ映画だ。。
分かっちゃいたけど、完全に打ちひしがれました、、
カンヌ映画祭を震撼させた、19歳が作ったという映画。
舞台は高校。2:37「誰かが」自殺するところから始まります。
時間は戻り、その日の朝。
登場人物たちが、2:37までの時間をそれぞれ過ごしていきます。
登場人物は、それぞれがよくありがちな高校生。
スポーツ万能のモテ男だったり、ガリ勉だったり、ギャルだったり。
学校内の映像の合間に、それぞれの登場人物のインタビューがモノクロで挿入されて、
その発言から、彼らの背景や、抱える悩みが浮き彫りになっていきます。
どれもこれも、自殺を考えられる悩みばかり、、
誰が自殺してもおかしくない状況の中、冒頭の血は誰のものなのか??
徐々に彼らの「秘密」が暴かれ、「誰が?」というラストの謎解きまで、
一気に観させられます。
そして、衝撃のラスト、、、
この映画は「友達が自殺する」という、監督自身の体験を元に作られたらしく、
なるほど、私は完全に監督の思い出を追体験させられました。
このラストの喪失感、やるせない気持ち、、、
これら全ての感情が、きっと監督が体験したものなのだろう、、と思うと、
ほんと、この監督はすごい☆ と思ってしまう。
人はだれでも、自分のコトで精一杯になる、、まわりが見えなくなる。。
でも、誰もが悩みを抱えて、それでも前へ進もうともがいてる、、
監督は下記のメッセージを作品に対して寄せています。
「この映画が、私だけでなく多くの人の命をも救うことを願ってやまない。」
私もそう願います。。人の命の重みを感じる映画でした。
インファナル・アフェア [映画:あ行]
「世界を沈黙させた! 女も惚れる本物の男のドラマ!」
『ディパーテッド』を観たので、「なんだか男くさそう、、」と避けてた
『インファナル・アフェア』を観たい気分になりました。
やっぱり男くさい☆
女子である私には、入り込めない世界観がありますが、
映像もストーリーも美しくて、“アジアの美”を観た気がしました。
根底に流れる精神がアジア人である自分には理解しやすく、
すっと入ってくる感じです。
主人公2人が今に至るまでの経緯などの説明が、
ちょっと少ない気がしますが、
さりげない動きとか、セリフで、なんとなーく伝わってきます。
多くを語りすぎないところも、アジアっぽい気がしました。
この作品は3部作のようなので、その辺の語ってない部分は、
あとで明らかになっていくのかしら??
他の2作も観なくては☆
しかし、トニー・レオンは相変わらずかっこいい☆
インタビュー映像などを見ると「なんだか、しょぼいおじさん」なのに、
スクリーンに出ると、艶がでて数段かっこよく見えてしまうのは、
「役者だなぁ〜」とほれぼれしてしまいます。
あえて『ティパーテッド』と比べるなら、
個人的には『インファナル・アフェア』の方が好みですが、
あれだけ同じ内容なのに、まったくの別物になってる『ディパーテッド』は、
それはそれで、スゴイと思います。
実は『ディパーテッド』には、アメリカ人なら分かる何かがあったのカモ、、、
とさえ、勘ぐりたくなりました。
両方観てみて観ると感じ方も変わってきてオモシロイです☆
まったく余談ですが、『インファナル・アンフェア』という
パロディ?な作品も並んでいて、あやうくそちらを借りそうになってしまいました。
あぶない☆ あぶない☆